エピック オーケストラとは何か
(Epic Orchestraについて)
オーケストラは
生演奏だけだと思っていませんか?

エピック・オーケストラとは
エピック・オーケストラとは、コンピュータのみで制作されるデジタルなオーケストラのことです。映像で言えば、「現実と区別が付かないほどのリアルなCG」と同義のものということになります。
ハリウッド映画の予告編などで流れるような、圧倒的な迫力のある派手なオーケストラがそれにあたります。従来の生演奏によるオーケストラよりも、現代的で未来的なサウンド・アプローチがなされており、人力ではまず不可能な音響表現が取り入れられることも多いです。
例えば、メロディーラインを奏でるホルンが100人、重厚なチェロやコントラバスが300人といったような現実的にはまずありえない楽器構成であったり、EDMのように強力な音圧を与えられたパーカッションやドラム群、そこかしこにふんだんに散りばめられた合唱団の歌声、といったように、従来の交響楽団の表現を超えて形にされた音楽がエピック・オーケストラです。
もちろん、交響楽団による生演奏の素晴らしさについては言うまでもありません。
どちらが優れているかという話ではなく、ロックとダンスミュージックが音楽の歴史の中で共存してきたように、どちらも素晴らしいのです。
「たった一人で作るオーケストラ」がいかに天才性、芸術性の面で高尚な音楽表現であるかという発見が時代の潮流も相まって、エピック・オーケストラというジャンルを生み出したのです。
代表的なアーティストとしては、Hans Zimmer(ハンス・ジマー)やTwo Steps from Hell、Audiomachine、Thomas Bergersenなどが挙げられます。
彼らの特徴は、優れた作曲の才能とデジタルを道具として操る卓越したセンスを同時に併せ持っているところです。

エピック・オーケストラ(Epic/Hybrid)について
絶対に知っておくべき3つの知識
日本は残念ながら海外に比べて音楽についての常識が10年20年遅れてしまっています。島国だからでしょうか、大変由々しき事態だと思います。
ここでは、アメリカやヨーロッパなど海外のリアルな現在も踏まえて、交響楽団の生演奏では逆に不可能な、デジタル・オーケストラだからこそ体現できる「3つの最大の特徴」を挙げておきます。
現実を超えてしまう超リアルなCG映像と考えるとわかりやすいかと思います。
デジタル・オーケストラは日本ならではの呼称ですが、海外では「Epic(エピック)」または「Hybrid(ハイブリッド)」と呼ばれることが多いです。

派手。
─ ダンスミュージックのような音圧とロックのようなストレートさ

オーケストラ、クラシックと聞くと、退屈で眠くなってしまう音楽だと思っている方は多いんじゃないでしょうか?
確かに古典的なクラシックは難解なものも多く、曲自体が人を遠ざけてしまうような構造になっていたりします。なにせ高尚な貴族のための音楽ですからね。
でもデジタル・オーケストラは違います。
映画の音楽やアニメーション、コマーシャルやネット動画など広く世界中の人に向けて制作された音楽です。
そのため、わかりやすさ親しみやすさを念頭に作られることが多いのです。
「派手なたたみかけ」「ポップスのようなコード進行」「圧倒する合唱団の歌声」といった多くの人の心が揺さぶられてしまう要素が、これでもかと注ぎ込まれているのがデジタル・オーケストラなのです。
Two Steps From Hell - Flameheart
この動画のTwo Step From Hellは、オーケストラの世界に革命をもたらした海外で最も知られたアーティストですが、ロックのようなストリングスの「リフ」、EDM等のダンスミュージックのような前面に押し出してくる「音圧」、みなさんが知っているようなクラシックの退屈さは全然ないのではないかと思います。ちなみにこの合唱団の歌声もデジタルな手法で制作されたものです。
無限大。
─ あらゆるジャンルの掛け合わせ

交響楽団の生演奏がベースだと、演奏をシンクロさせるための同期の問題や、楽器固有の音響的な問題など、なかなか他ジャンルとのクロスオーバーは難しいものとされています。
しかし、プログラミングがベースとなると一気に可能性が広がります。
それも無限大に。
どんなジャンルでも掛け合わせることが可能になりますので、あらゆるイマジネーションを形にすることが出来ます。このあたりもCG映像の世界と似ていますね。従来の特撮には限界がありますが、CGであれば中世でも未来でも宇宙でもビジョンを具現化できます。
Thomas Bergersen - Humanity (feat. Audrey Callahan)
この曲は長編ですが、地球上の様々な音楽が掛け合わされた曲になっています。興味のある方はぜひじっくり聴きこんでみてください。
リーズナブル。
─ 交響楽団の10分の1の予算
あと特筆すべき点は、やはり予算でしょう。
従来のオーケストラ制作の予算から約10分の1で形にできるようになりましたから、様々な業界の人たちが手を出せるようになりました。
広告であったり、テーマ曲だったり、BGMだったりと、以前より気軽にオーケストラに手を出せるようになったのです。
とはいえ、オーケストラ曲は制作難度が高いので、アマチュア制作者にはかなり厳しいですが、各プロスタジオでリーズナブルに提供されるようになってきているようです。日本ではまだまだ数は少ないようですが…
