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パラデータとは

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パラデータとは

 

パラデータ(Para Data)とは、ミックスやマスタリングの際に楽曲をやりとりする際に使うWAVやAIFFなどの楽器パートごとのオーディオファイルのことです。
 
何かパラデータ独自の規格や拡張子があるわけではありません。
ただの「WAVファイル群」のことです。これをパラデータといいます。

WAVファイル

 

このパラデータがあれば、全トラック個別のミックスやエフェクト調整を自由にすることが出来ます。 主にプロのアレンジャーやサウンド・クリエイターが、スタジオやエンジニアと楽曲のデータをやりとりする際に用いる手法であり、プロフェッショナルなミックスでは必須とされるデータです。
 
ミックス・マスタリング時だけでなく、ボーカルレコーディング時の場合でも、ミックスの精度を上げられますので、2ミックス音源(通常のオケ)のみでレコーディングするよりもクオリティの高いプロセスが可能になります。
 
ボーカルレコーディングや、時間の限られた低予算の簡易ミックス・マスタリングの場合には、「ステムミックス」を用いることもあります。
 
ステムミックスとは、パラデータをざっくりといくつかのカテゴリーに分けて(ドラム群、ギター群、シンセ群など)、パラデータ全体のトラック数を減らす方法です。
 


パラデータは、純粋なオーディオファイルでのやりとりとなり、シーケンサー独自の規格やファイル形式に依存しないので、確実に楽曲データをやりとり出来るという大きなメリットがあります。

 
シーケンサー独自のセッションファイルやプロジェクトファイルのやり取りだと、送り手・受け手の双方で同じプラグイン、同じソフト音源、同じハードウェアがそろっていないと楽曲を適切に再展開できないのです。
 
そこで、各サウンドそれぞれをWAVに封じ込めたパラデータを使うというわけです。
 
 
 
現在では高速かつ大容量のデータをやり取りできる通信環境のインフラが一般的に整ったことから、スタジオに直接データを携えて持ち込むより、インターネットを介してパラデータを送ることが多くなりました。

CD-RやDVD-Rなどの物理メディアにデータを焼き込む方法も従来からありますが、厳密な意味で書き込み時や読み込み時に音質の変質や劣化の可能性も考えられますので、オンライン上にそのままデータを1つのフォルダにまとめてからZIP圧縮などしてアップロードするか、ポータブルのハードディスクなどでスタジオに持ち込むのがベストではあります。
 
 
 
protools
 
logic
 
cubase
 
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パラデータの書き出し方


お使いのシーケンサー、レコーダー、MTRのメイン画面では
 
 
シーケンサー画面





ギター

    ■■ ■■ ■■

 
 
ピアノ

 ■■ ■■ ■■ ■■ ■ ■

 
 
ボーカル

  ■■■■ ■■ ■ ■ 

 
 
ドラム

■■■ ■■ ■   ■■

 
 
 
 
 
(■■■が再生されるオーディオトラック)

 



このように各楽器パートがランダムに並んでいると思います。




 

曲の頭がシーケンサー上で1小節目だとしたら、すべての楽器パートを個別に、1小節目から書き出します。
 
※WAV24bit48kHzの場合が多いです。
(最近ではWAV32bit48kHzがベストとされることも増えてきました)
 




上の例ではギターやボーカルの冒頭は何も鳴っていない空白が生まれますが、それで問題ありません。その空白のまま書き出します。

 
 
ギターだけ
ピアノだけ
ボーカルだけ
ドラムだけ
 
 
という風に各楽器パートをソロ演奏モードなどにしながら、個別にWAVやAIFFに書き出していくのです。すべてのエフェクトやプラグインはOFFにして書き出すのが望ましいです。理由は後述します。
 
 
※マイク1本で録るようなボーカルやベース、ギターなどはMonoファイルで書き出す場合が多く、ピアノやシンセ、ストリングス、効果音などはStereoファイルで書き出します。
 
※もしCubaseなどをお使いの場合は「iXMLチャンクを挿入」という項目のチェックを外して書き出します。これをしないと、プロスタジオのProtoolsHDX等でステレオトラック1本がモノトラック2本に変換されてしまうことがあります。
 
 
 
最終的にシーケンサーに並べたオーディオファイルは


 
ギター  

■■■■■■■■■■■■■■■■


ピアノ  
■■■■■■■■■■■■■■■■



ボーカル 
■■■■■■■■■■■■■■■■



ドラム 
■■■■■■■■■■■■■■■■

 
 

(■■■ が再生されるオーディオトラック)

 
 

このようにファイルの頭(開始小節)がそろっているはずです。




この例の場合は、終了小節も同じに合わせています。
   
オーディオファイル計20本~40本くらいが平均ですが、多い曲では50本~100本くらいになったりします。オーケストラ曲などはやむを得ませんが、トラック数は少なく濃密なほどプロのエンジニアに好まれます。ミックスの精度という意味でも、ただ数が多いだけのトラック数は避けるべきでしょう。
 
レコーディングスタジオなどでは予算に応じて制作時間があらかじめ決まっており、トラック数が多くなると1トラック当たりの制作時間が減ることになりますので、注意してください。
 
 
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パラデータの送り方




書き出し終えたら、曲ごとに1つのフォルダにまとめつつ、そのフォルダをZIP圧縮などして

ZIP圧縮


firestorageやデータ便などのファイル転送サービスなどを使って先方に送信します。

 


小さな楽曲サイズで合計数百MB、大きなものになると数GBになったりします。

その場合は



が便利かと思います。

いずれのサービスも無料で提供されています。


書き出したバラデータが適正に再生されるか、シーケンサーにあらためて取り込んでみて確認することも大切です。再生位置がズレていたり、欠けているパートが稀にあったりするものです。



なぜ、開始小節をそろえて書き出すのかというと

楽曲データの受け取り側でオーディオファイルを再展開する際に、各楽器パートのファイルの頭をそろえて再生することで完全に適切な再生位置を保ったまま、正しく再生することが出来るからです。

 
 
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書き出し方がよくわからない場合は



もしよくわからない場合には、仮に楽曲がシーケンサー上で1小節から100小節まであるものだとしたら、歌も含めたすべての楽器パートを個別に1小節から100小節までベッタリ書き出すようにすれば間違いない形でやりとりできます。

慣れてきたら

例えば50小節目で完全に終わっているパートがあれば、そのパートは50小節目まで書き出せばOKです。ただし、他のパートと同様に開始小節がそろっていなければなりません。


 
 

エフェクトはOFFにする



また、パラデータで書き出す際には、特に空間系エフェクト(リバーブやディレイなど)はOFFにします。

これは、スタジオで再ミックスする際に空間系エフェクトが掛かっていると、ミックスバランスなどに不都合をきたす場合があるからです。

スタジオであらためてリバーブなどを掛け直した方が音質的にもベターなのです。(こだわりのあるエフェクト・サウンドがある場合は、そのエフェクト成分だけを個別に書き出すやり方もあります。)

また、コンプやEQなどの設定もあえて過激なサウンドにしている場合は例外ですが、掛けすぎず、やりすぎず受け取り側に渡した方がいいでしょう。

強く掛かったものは、元の形には戻せませんので、比較的ノーマルな状態のサウンドと思えるものを渡した方が無難です。


 
 

テンポ(BPM)を伝える

 

スムーズなやり取りをするために、楽曲のテンポをスタジオに必ず伝えます。フォルダ名に記すか、またはメールで伝えるかします。

※曲にテンポチェンジがある場合は、クリックなど4分打ちのMIDIデータも合わせて書き出します。テンポ情報をデータで先方に渡すことが出来ます。
 
パラデータでのやりとりは、プロや業務レベルだけでなく、インターネットの通信速度の進化とともに、例えば、バンドのメンバー間でのやりとりなど、広く民生レベルにまで知られるようになる手法になると思われます。


慣れてしまえばとても便利な手法なので、是非ご参考になさってください。