コード進行  マスター
 

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音楽制作会社ネクスト・デザイン

 

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順次下降 マイナー

別名 

「ラピュタ進行」

 
 
 
天空の城ラピュタのテーマ曲
 
 
 
 
「君をのせて」に使われているコード進行
 
あの地平線~♪ の部分です
 
 

|Am|Em/G|F|C/E|Dm|Am/C|B7|E7|
|Am|Em/G|F|C/E|Dm|Am|Dm7 E7|Am |

 
 
ひたすらコードが下へ下がっていく進行です。 オンコードを使ってベースラインが綺麗な下降ラインを描きます。
 
 
各コードに7thを多用して洗練されたテイストを出すのもいいでしょうし、心にジーンと染みるようなメロディーラインを生み出せるコード進行です。
 
 
 
このコード進行の最もセンチメンタルな部分は
 

|Dm|Am|Dm7 E7|Am |

 
の部分です。
 
 
ラピュタで言うと
 
♪あのどれかひとつに 君がいるから
 
 
の部分ですね。
 
 
 
「あのどれかひとつに(Dm→Am)」というBメロやブリッジに使われがちな進行で「つなぐ」「期待させる」という仕掛けも重要ですが、「君がいるから(Dm→E7→Am)」という「キメ」の進行で聴く人のハートをつかんでしまうわけです。
 
順次下降でひたすらゆるやかに下がってきて、この部分に差し掛かると急に「上に向かっていく動き」になっている点も「意外性」「キャッチー感」として機能しているのもポイントとして注目です。(意図的にそのようにコードを配置していると思われます)
 
 
 
父さんが残した熱い想い
母さんがくれたあのまなざし
 
 
 
の部分には実は小室進行が使われています。
 
 

|Am|FM7|G  |C E/G#|
|Am|FM7|G  |Am |

 
 
コード進行のパワーとしては、順次下降より小室進行の方が全然強いのですが、この曲に関しては「あの地平線~君をのせて」の箇所の方がいい曲と感じますし、印象に残っている方も多いと思います。
 
これはあくまでも想像ですが、曲制作時に、メロディーとラフなアレンジがまず出来て、歌詞をあてる段階で宮崎駿監督から「サビよりAメロの方がいいんじゃない?」みたいな話があって、その結果、サビ後にもう一度「キメ」としてのAメロを繰り返すことになって曲が完成したような気がしています。
 
実際、そのキメのAメロに曲タイトルの「君をのせて」が歌詞として出てくるという点と、「父さん母さん」セクションで歌の一番高い音程(Top)を持ってきている、ファルセットを投入しに行っていることなど色々ありますが、一番はコード進行の展開的に小室進行(当時はそんな言い方はないですが)を持ってきて盛り上げて、さらに曲をそこで終わらせようとしている作曲者である久石譲さんの意識を感じますからね。
 
でももう一度Aメロを繰り返してくれて、この曲が今も歌い継がれるような名曲になったのかもしれないですね。井上あずみさんの歌声が心に響きます。
 
 
綺麗にバシッと決まった順次下降は、小室進行のパワーを超えてしまうという実例として挙げさせて頂きました。