ユーロビート進行
ユーロビート。
昔から最も日本人に好まれ、なじみの深い海外のダンスミュージックです。

なぜユーロビートが日本人に親しまれるのか?
その謎はやはりコード進行に隠されています。
ユーロビートのサビ部分などで多用されるコード進行は
|F |G |Am |Am|
です。
もしくは
|F G |Am |F G |Am |
コードの間合いは違いますが、いずれも「4-5-6」という動き方です。
いわゆる「哀愁ユーロ」などと言われる、メロディアスで切ないタイプのユーロビートは
|FM7|G |Em7|Am |
などが使われるパターンが多いです。
このコード進行見覚えがありませんか?
そうです。
J-POP進行なんですね。 J-POP進行 詳しくはこちら
「4-5-6」
「4-5-3-6」
というコードの動き方は、最も日本人に好まれるものです。
それゆえに、ユーロビートが栄枯盛衰を繰り返しながら、長い年月の間、日本人に好まれてきたんですね。
ほぼすべてのユーロビートの構造は、このコード進行に集約されると言っても過言ではありません。
ユーロビートの歴史は80年代に始まります。
そして、このコード進行を考察するにはまず80年代の音楽を紐解かねばなりません。
キャッチーなメロディーと、躍動感を生み出すこのコード進行は、
世界中のチャートを席巻し、
ポップス界におけるデジタル・サウンド黎明期と相まって、
爆発的に世界各地に拡散していきました。
ユーロビート初期の名曲のひとつがこれです。
Rick Astley - Never Gonna Give You Up (Official Video) (4K Remaster)
サビ部分で
|FM7|G|Em7|Am |
のコード進行が使われていますね。
Rick Astley - Together Forever (Official Video) [4K Remaster]
Rick Astleyのユーロビート第2弾のこちらの曲の方がメロディアスなので、日本人好みだと思います。
もちろんユーロビート進行が使われています。
世界で巨大なユーロビート旋風を巻き起こしたRick Astleyのこれら2曲です。
もちろん日本の当時のヒットチャートもユーロビート勢がにぎわせます。
リスナーはユーロビートだという意識はなくても、邦楽としてヒットしている曲を紐解けば、原曲は海外のユーロビートだったりすることが多かったのです。
荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」の原曲は
アンジー・ゴールドの「Eat You UP」ですし、
ウィンク「愛が止まらない」の原曲は、
カイリー・ミノーグの「Turn It Into Love」です。
Kylie Minogue - Turn It into Love
挙げたらきりがありませんが、これらの邦楽曲の原型はすべてユーロビートです。
ユーロビートには日本語が乗りやすいですからね。
その後は、安室奈美恵、MAX、ディズニー系ユーロやパラパラなどが90年代にJ-Popシーンを盛り上げ、
アニメ「頭文字D」では大々的にユーロビートがBGMにフィーチャーされたりしました。
ポップスシーンを席巻するのと時を同じくして、ユーロビートはクラブやディスコサウンドと接近し、「スーパーユーロビートシリーズ」などの作品に代表されるような、ある種のサウンド・フォーマットに乗っ取った形でそのアイデンティティーを確立していきます。
ディスコサウンド化してからのユーロビートの名曲といえば、「King And Queen」です。
転調も織り交ぜながら、このコード進行がフィーチャーされています。
このシンセリフは今聴いても本当にかっこいい。
そして、このユーロビート進行の果てにあるものは…
「戦場のメリークリスマス」と「インターステラー」という2大巨頭にたどり着きます。

戦場のメリークリスマス
Merry Christmas Mr. Lawrence/ 坂本龍一
(Miz Music コード譜) 参考引用
GbM7 | Ab7 | Bbm7 | Bbm7 |
GbM7 | Ab7 | Bbm7 | Ab7 |
インターステラー
Interstellar Main Theme - Piano Tutorial - Hans Zimmer
(Stanislav Stanchevコード譜) 参考引用
FM7 | G6 | Am | G6 |
ユーロビート進行は、こんなにも美しい音楽に行き着く
とてつもないポテンシャルを発揮するコード進行だということが
おわかり頂けたでしょうか?
この進行は日本人だけでなく欧米人の心にも強く響くと言われています。
ハウスやEDM、ロックやポップスなど
最強のオールラウンダーと言っても過言ではありません。
かつてのパラパラブームの影響のせいか、チャラチャラしたイメージがつきまとうユーロビートですが、その音楽的な構造を分析することで、いろいろな発見があります。
その後、日本で最後にブレイクしたユーロビートは、NIGHT OF FIRE / NIKO あたりでしょうか。
流行り廃りの激しいダンスミュージックの世界で唯一、
沈んでは浮かび、廃れてはまた流行り、
栄枯盛衰を繰り返しているのもまたユーロビートです。
サウンドが目まぐるしく変わっても、ユーロビートが底力を持っている理由は、このコード進行が持っているパワーゆえなんですね。
またいつか、ユーロビートが復活して多くの人を楽しませる音楽として、再び現れる日が来るかもしれません。
コード進行
STEP 0
初心者のためのコード進行
STEP1
日本人が好きなコード進行
STEP 2
曲のレベルを
上げるためのコード進行
STEP 3
プロレベル
※コード表記はわかりやすくするために、Cメジャー(Aマイナー)表記になります。